踏切で立ち往生!電車を止めてしまったら?

皆さんこんにちは。
今日は温かかったですね!車に乗りこむと、車内があちこちアツアツになっていました。
これからの時期、お子さんの熱中症にはくれぐれも気をつけてくださいね。

さて、今回は何となく気になってたんだけどシリーズより「電車を止めちゃったら賠償金を請求されるのでしょう?」という質問についてです。

先日は認知症の男性が電車にはねられ、名古屋地検が男性の遺族に対して、事故による電車遅延などの賠償金として約720万円をJR東海に支払うよう命じたという報道がありました。
上記のニュースについては賛否両論あるようです。

ただ、一般的に車両が電車と接触すれば、傷つけてしまった電車を直さなければならないのはもちろんですが、それに付随した費用も賠償義務を負うことがあります。

これはもちろん自動車保険の対物賠償で備えることが可能です。

「対物賠償の保険金額なんて、フェラーリみたいな車はそうそうお目にかからないのだから、大目に見ても1000万円あればいいでしょう」
なんて仰る方も・・・いまはあまりいらっしゃいませんかね。

車にしかぶつからないならいいかもしれませんが、冬ならば多重追突事故もあれば、電柱や店舗を大破してしまうかもしれません。
そしてもし営業を阻害してしまった場合には、その賠償義務も生じることでしょう。

では踏切で立ち往生してしまったら?
これが実は案外問題なのです。 



何故ならば、対物賠償責任保険の対象となる事故は以下のように定義されています。
①ご契約のお車の所有、使用または管理に起因して生じた偶然な事故により
②他人の財物を損壊することにより
③被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る対物賠償損害を補償します

この②がポイントとなります。
つまり、他人の財物を損壊させていなければならないのです。 

ですから先のケースのように、電車にも踏切にも、あるいは先行車両にも接触しておらず、電車ともぶつからずに済んだ場合には 、対物賠償責任保険は働かない事故となります。

ぶつからなくてホッとしたのもつかの間、鉄道会社から遅延金として賠償請求をされた場合に困ってしまうのです。

まぁ緊急停止ボタンを押して、トラブルの発生を伝えたにもかからわず、鉄道会社が賠償請求をするのかはわかりませんけれども。

このケースは私が研修生の時代から語り継がれる、おかしな保険のルールですね。

なぜこのような運用になっているかと言えば、「店の前に車を停められて売上が落ちた!」などというトラブルに対応するとなると、賠償義務の有無についての判断が非常に困難となるからだということです。

踏切なんかにちょっとでもぶつけて置くと安心ですね、などとは決して言いませんが。

本当に困っている人を、純粋にお助け出来る世の中ならば、保険のルールも簡単で保険料も安くて示談も爽やかに取り行うことができるのですが、悲しいですね。なんせドライブレコーダーが必需品となりつつありますからね。

ちなみに、もう一つ納得いかないようでそれもそうかという対人賠償のお話。
車で人をはねてしまい、その人の治療費や休業損害や慰謝料をお支払いしなければならないのはわかりますよね。

では、その人の雇い主から「うちのスタッフに急に休まれて、大変な損失だ!賠償してもらう!」とか言われたらどうでしょうか?
あとは、「ちょうど今1億の契約をまとめるところだったのにどうしてくれるんだ!」と言うのはどうでしょうか?

これらは一般的に賠償義務にあたるかというと、当たらない場合が多いです。
スタッフの欠員や移動中のトラブルが出て困るのならば、それは企業として何らかの措置をとっておくべきであり、二次的な損害を求められてはきりがありません。
別な言い方をするならば、「ケガでスタッフが休んでいるならその人のお給料が浮くのですから、別な人を雇えばよいのではないですか?」と言う話ですね。

さて、ちょっと意外な、でもまぁ聞いてみればわからなくもない保険の話でした。
ただし、「自分の身に振りかかるまでは」ですよね。
くれぐれも立ち往生などしないよう、踏切の横断時には前の車との車間距離に余裕を持ってくださいね。

ティー・アイ・プランニング 新谷拓己 

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