個人的にはあちこちで聞く気がするのですが、「バイアス」という言葉をご存知ですか?
「バイアス」の意味は「偏り」です。
この言葉は、「人間の陥りやすい傾向」という意味合いで使われる事が多いです。
それも、『誤った判断をしてしまいがちな傾向』として。
この傾向は、投資や、災害時の心理状態など、色々な局面で私たちを邪魔してきます。
例えばこんな例はどうでしょうか?
①と②、2つの質問があります。直感的に選んでみて下さい。
①現金くじ
大きな買い物をしたらキャッシュバックキャンペーンのおしらせ。
A. 4本のくじから1本引いて下さい。1本だけが外れくじ。でも当たりくじを引けば10万円もらえます。
B. くじを引かずに5万円を現金でお渡しもできます。
AかBか、どちらかになさいますか?
②借金チャラ?
賭けに負けて20万円を払うことに。。。でも一つのチャンスがあるとか・・・
C. だまって20万円払う。
D. チャンス!ハート・クラブ・ダイヤ・スペードと4種類のカードをシャッフル。ハートを引くことができたら20万円は免除!でもその他カードを引いてしまったら30万円払ってくださいね。
では、CかD、どちらにしますか?
どうでしたか?
実は割りと多くの方が、①ではBを、②ではDを選ぶ傾向があります。
直感的でなく、冷静に考えてみましょう。
①の質問。
Aは10万円の可能性が3/4ですから75%。この場合、期待できる金額は7.5万円と言い換えることが出来ます。
つまりAのほうが有利な取引と言えます。
次に ②の質問。
Dも同じく期待値と考えると、-30万円 の確率が3/4ですから75%。掛け算で期待値を計算すると-22.5万円です。つまりエイっと20万円を払ってしまったほうが損が少なくて済みそうです。
でもこんなふうに冷静に考えるよりも、バイアスが働いてしまうんです。
数学的にはそうかもしれないねと思う方も、きっと家族4人で一回ずつやっていいですよと言われたら正しい方を選ばれるのではないでしょうか?
では、このバイアスはどのような傾向かというと、
「人は利益を確定したがり、損害は回避したがる」
というものです。
これが投資では邪魔です。
これから価値の上がりそうな局面でも、数万円でも買った時より高くなったら儲けを確定したくて売ってしまいます。
そして価値が下がり始めたときは、もしかしたらまた持ち直すかも・・・という気持ちが働いて損切りができません。いわゆる塩漬けです。
儲けにくく損しやすい、困った性質を持っているものですね。
瞬間的に「こっちが正しいはず!」という直感には、少し注意を払ったほうが良いかもしれません。
災害時のバイアスについても書こうと思ったのですが、長くなってしまいましたので次回に持ち越したいと思います。
長文をお読み頂いてありがとうございます。
新谷 拓己