再び冬が戻ってきそうですね。道南では40cmほどの大雪が降ったそうです。
春に向けて三寒四温の日々が続きますが、今日からの数日は荒れた天気にお気をつけ下さい。
そんな寒暖が繰り返すときに多いのがすが漏れです。
前回の記事『雪解け時期には気をつけてください』でご紹介しましたが、
『風、雨、雪、雹、砂塵その他これらに類する物の、建物内部への吹き込み、浸み込みまたは漏入によって生じた損害』
と言うのは火災保険の対象にはなりません。
不動産賃貸業の方ですと、「漏水でテナントさんへ損害を与えてしまった・・・」というようなケースも有り得ると思います。
しかしこの場合も、原因が上記に類するものであった場合は賠償保険では対象とならないでしょう。
つまり雨漏りやすが漏れによる損害から財産を守る方法は保険ではなくて、日々のお手入れが一番と言えますでしょう。
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すが漏れって何かわかりますか?
実を言うと私もこのお仕事をしてから知った言葉です。すが漏れ。
この「スガ」と言うのはインターネットで調べてみたところでは東北地方の方言で氷をさすようです。
さて、ではすが漏れはどのようにして起きるのか?
これはやはり氷が原因なんです。
屋根は水はけのために勾配がつけられています。雨が降れば流れ落ちますよね。
しかし雪の場合は、多少の勾配があっても積もっていきます。
そして家に人が暮らしていれば暖気が屋根や外壁から外へ伝わっていきます。
断熱がしっかりしていればそんなこともないでしょうが、古い建物だとどうしても寒い。
寒いということは暖房の熱も逃げる。
暖房費がもったいない上に、 積もっている雪が屋根に接している部分から溶けていきます。
すると流れた水が軒先につららとして現れるわけです。
特に三角屋根のお家なんかは屋根が外壁よりも張り出してありますよね?
屋根から流れ落ちる水が外壁を伝わないように張り出させてある部分。ヒサシとかノキと呼ばれます。
この張り出た部分(つまり軒)は家の暖気が及ばず冷えてしまいます。
ここで雪解け水は流れ落ちずにつららとなってしまうんですね。
つららのない家は断熱のしっかりした家だなぁと思っていいですね。
結露もしかりです。外気温を断熱によりしっかりシャットアウトできていれば結露も防げます。
こうして出来てしまった氷、つまり「すが」が悪さをします。
氷は軒下でつららになるだけでなく、屋根の端から徐々に広がっていきます。すると水をせき止めるようになってしまいます。
図にするとこう
ここでちょっと不思議に思いませんか?
「屋根なんだから、水が溜まったくらい平気でしょ?」
私もそう思った一人です。
ではその屋根は一般的にどうなっているかというと、板と板をつなぎあわせているんですね。
金属屋根の多くは上から下へ、立ち上がった耳のようなものが走っているのを目にしますね。
餃子の耳のような。
あれは「はぜ」と呼びます。
青い鉄板と、茶色い鉄板が噛み合って、容易に外れないようになっています。
これだけ入り組んでいれば、なかなか水も入ってきにくいわけです。
このはぜを乗り越えてしまうんですね。
はぜも新しければ、キュッと締まっていて水も入りにくいですが、徐々に緩んできてしまうので、ハゼ締めという修復をする方もいます。 あとから耳の部分を専用のペンチみたいなものでギュッギュと挟むんです。
つまり、屋根は上から降り注ぐ水には強いけれど、水を溜めておくという機能までを求めてはいないと言ってもいいでしょうか。
ですからすが漏れというのは、屋根が壊れてしまっているのとはちょっと違うかもしれません。
雨漏りのように屋根が剥がれたり、穴が空いているという状態ではないですね。
雪解け水が悪さをしているというイメージでしょうか。
特に落雪防止のための雪止めをしていると、雪がたまって氷になりすが漏れになりやすいようです。
すが漏れして、その漏った水が凍って膨張し、浸水箇所を広げてしまうこともあるようです。
対策としてはハゼ締めや断熱工事もあるかもしれませんが、定期的に雪下ろしをして、あまり雪解け水がたまらないようにしてあげることが屋根にとって一番だと思います。
これからの時期は雪解けと氷結とが繰り返されることもありますから、温かい時に雪下ろしをしておくと良いでしょう。
ただし、雪下ろしの作業は危険が伴いますのでくれぐれも注意してくださいね!
持ち家は大変ですねー。
賃貸住まいの新谷拓己でした。