何を大切にしますか? ~老舗寝具製造 社長のお話~

ずいぶん寒くなりましたね。
もう布団から肩が出ると、寒くて起きてしまいます。
皆さんはどんな布団をお使いですか?

本日、寝具製造を営んでいらっしゃるお客様のところへお邪魔し、社長のお話を聞いてまいりました。

昭和16年からの歴史を持つ企業で現社長は三代目です。

初代は北海道のより内陸で、毛皮のために狸や狐を育てる業者へその子狐や子狸を繁殖供給するという仕事をされていたそうです。
その後、戦争により毛皮産業が下火となり、事業を整理して札幌へ移り繊維業を立ち上げたというのがルーツだそうです。

当時の繊維業とは、木綿の原料が戦争により輸入されないため、衣類などを綿に加工するという仕事だったそうです。
そして、家庭では綿を綿屋さんで買い、自分で布団を作っていたんです。

そして戦後に綿屋さんへ生地メーカーが営業をかけるようになり、綿も輸入され、現在のふとん屋さんへと変わっていったのです。

自分で布団を作るというのも 驚きましたし、綿屋さんは昔は繊維再生リサイクルをされていたというのも驚きました。

そんな老舗の寝具製造業の社長が仰るには、この日本の消費文化では今や優先順位が崩れてしまっているのではないかと危惧されていました。

『安いアパートに住み、 カップラーメンを食べながら、いいクルマに乗る。』

違うのではないか。
しっかりとした家を備え、家族で安心な食事を取り、車は身の丈にあったものに乗れば良いんじゃないか。

今の世は、低反発素材が良いとPRされたかと思うと、今度は高反発素材が良いと、消費者は次から次へと買い替えにリードされてしまいます。
方や一部の製造・メーカーは、原価を落とすための知恵を絞ることに熱心になって、もっと大切なことを見失っているんじゃないかとも思います。

本当に大切にすべきは、10年20年後と家族や子孫の健康を先々まで守るということではないかと社長はおっしゃいます。

蕎麦殻や羊毛や綿で過ごしてきた日本が、化学製品など安価な商品に切り替わり、変わるべきもの変わるべきでないものがないまぜになってしまったのではないか。
アトピーやアレルギーが現代にこれだけ増えている一端がそこにあるのではないか。
本当に良質なもの、変わるべきでないものというものを見失わないようにしたいです。

貴方はどちらを買いますか?
生産効率を上げ安く供給された米と、高い無農薬米とでは、どちらを買いますか?
科学的に抽出された安い調味料と、手間ひまをかけて絞り出されたものと、どちらを買いますか?
ちょっと走った程度の型落ちの中古車と、 誰も乗っていない高い新車と、どちらを買いますか?

私は安い米、安い調味料、新車でした。

新車が悪いとは言いません。中古車を買って、メンテだ交換だと返って高くつくことだってあります。 
でも、家族のために何を節約して何を大切にするのか・・・、もうちょっと考えたほうが良いんじゃないかと思いました。

新谷拓己 

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