親心の生命保険が逆効果?ケンカの元になることも

お久しぶりです。新谷です。
年度末、お陰様で忙しくさせて頂いておりまして、ブログの更新も間が開いてしまいました。

さて、3月も1週間が過ぎました。
桃の節句、お雛祭りのひな人形はきちんと仕舞われましたか?
仕舞い遅れると嫁にも行き遅れると言いますね。
 行き遅れないために、はなから飾らないという家庭もあるとかないとか。面倒だとか。

桃の節句のあとは端午の節句。
おじいちゃんおばあちゃんは、お孫さんの成長を見る一つの機会でしょうか。

節句を調べてみたら、5種類あるんですね。
「節句(wikipedia)」
3月3日を桃の節句というならば、5月5日は菖蒲の節句と言わねばなりませんね。

さて、子・孫を想う親心。
昨今エンディングノートや遺言、相続といったことを考えさせられるようになって参りました。
そこで、生命保険が残した家族にとってどう役立つのか、あるいは逆に揉めてしまうのかというお話をしたいと思います。

434107de3f46157aa5cfb58825d2d151_s子供たちがケンカをしないようにという親心で入った生命保険。
でも実はそれが元で諍いを招いてしまうということがあるかもしれません。

 


『生命保険保険金は受取人固有の財産である』

これは生命保険を扱う人間ならば、知っていなければいけない文句。
かく言う私は試験の時に覚えたっきりしばらく忘れていました。

この一文がどんな意味を持っているかを具体的に理解できていなかったからです。

例えば、現金1000万円を残して亡くなった夫がいるとします。
子供はなく、両親は既に他界。
夫の身寄りと言えば妹くらい。

貴方はこの夫の奥様です。

さて、この1000万円は誰のものですか?
「もちろん私のものです」

ね。
違いますよね。

そうです、相続財産なので他の相続人と分かち合わなければなりません。
法定相続分で言うと、妻3/4・妹1/4ですね。

・・・
頭のなかで「ウチやないの・・・」と血の気が引いている方いませんか?
これ、現金はもちろんですけど、死んだらローンがチャラになるというお家にお住まいの奥様も同じですよ。
ローンがチャラになっても家は自動的に奥様の元へ転がり込むのではありません。
「相続財産ですから分けあいましょ」と妹さんがやってきます。

仮に兄弟が亡くなっていても、そのお子さんまでは相続権が移りますから、かえって交流のない甥姪の方が大変かもしれませんね。

じゃあこの1000万円が現金でなく、死んだら1000万円が支払われる生命保険だったとしたら?
どうでしょうか?
分け合いますか?
そうです、生命保険は受取人固有の財産ですから、受取人が奥様ならば、それはもう奥様の財産です。
分け合わなければいけない相続財産ではないんですね。

※ただし相続税の計算上は相続財産に組み込まれることになりますので、「全部生命保険にしたら相続税逃れが出来るじゃないか!」とはなりません。

さぁこの話を展開していきます。

例えば2000万円の不動産と1000万円の現金をお持ちのお父さんがいます。
妻は既に亡くなっていたとして、息子さんが2人いるとします。

どちらもかわいい息子たち。
兄弟は仲がいいと思っているのは親だけかもしれません。
平等に分けてやりたいなと思っても、片方に不動産を、片方に現金を、では不公平が起きてしまいます。

では少しでも現金を増やして残してあげようと1000万円で保険にはいり、死んだら1500万円が下りる保険にしたとします。(こんなに増えないかもしれませんが仮に) 

この保険、誰を受取人にしますか?

「長男に不動産を譲るとしたら、生命保険は次男に決まってるじゃない」 と言うのは間違いですよ!

なぜでしょうか?

それはやはり、生命保険は受取人固有の財産だから。
つまり次男の受け取る生命保険はお父さんからもらったものでなく、次男の財産に成り代わっているのでこう言います。
「生命保険は俺のもの。不動産は相続財産だから分け合おうや兄貴。」 

ですから、この場合には生命保険を受け取るのは長男が良いでしょうね。
そして長男から次男へ「オレ不動産もらって悪いからお前(弟)に現金払うよ。」とお金を渡してあげれば良いのです。

いかがでしょうか?

いまこのブログをご覧になっている方のなかで、
『A子には株を、B介には不動産を、C郎には生命保険を残そう』
と思っていた人はいらっしゃいませんか?

もし貴方が亡くなられた後に、このC郎君は「オレは相続財産はもらっていない」ということもあり得るということです。
そうすると、他の兄弟に割合を請求するかも知れませんね。

相続ならぬ、争族問題というのは、資産家一族ならではのことと思っている方が多いかもしれません。
しかし家庭裁判所の「遺産分割」紛争を見ると、遺産の額が1000~5000万円の人が4割強、1000万円以下が約3割を占めるのです。
つまり、5000万円以下の相続財産の方で7割以上を占めるのです。

去年までの相続税の基礎控除を考えますと、5000万円以下の相続財産というのは相続税の対象にならない規模です。

相続税のかからない人こそ、争族対策としての保険には注意が必要ですね。

平等のために入った保険が、ちっとも不公平の解決になっていないかもしれませんから。

新谷拓己 

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